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土江 隆弘(つちえ たかひろ)Indigo インディゴ オーナー

『西宮の学生たちが通いつめた懐かしのサンボアカレーを再現』

 

40年前に引っ越してきて以来、震災前後の5年ほど離れた時期もありましたが、ずっと西宮に住んでいます。

このお店では、昔、西宮北口にあった知る人ぞ知るカレー専門店「サンボア」の味を再現した「サンボア風カレー」を提供しています。

40年前、中学生の時にクラスの友達に誘われて行ったのが、僕とサンボアカレーの出会いでした。おじちゃんとおばちゃんが2人でやっている古びたお店で、メニューはカレー1つだけ。しかも大人は出入り禁止で、サラリーマンの客が追い返されているのを見たことがあります。

初めて行った時は、あまりのまずさに半分残したんです(笑)。「こんなのカレーじゃない!」って。僕の人生で、腹いっぱいでもないのに食べきれなかったのはあれが最初で最後です。

ただ、まわりの友達は「うまいうまい」と食べていたので、怖いもの見たさでもう1回行ってみたんです。その時は「相変わらずまずいやん」と思いつつ、なんとか全部食べることができた。そして3回目、友達がおごってくれるというのでイヤイヤついていったら…一口目から「めっちゃうまい」に変わったんです。自分でも不思議でしたが、その日はおかわりまでしました(笑)。

…っていうのが、サンボアのカレーなんです。しゃばしゃばのルーにペラペラのカツ、キャベツ、そこに酸っぱいドレッシングがかかっている。どれが欠けてもダメで、全部揃ってサンボアなんです。それを復刻といいますか、サンボア風としてお出ししています。

当時、普通の喫茶店のカレーが400〜500円していた時代に、サンボアは250円。お腹をすかせた学生たちが通いつめていました。みんな僕と同じで、最初はまずくても次第に「うまい」に変わっていったんですね。

今、初めて食べるお客さんでも残す方はほとんどいらっしゃらないですね。サンボアの味に寄せて作っているつもりですが、初めてでも「まずい」っていうお客さんは少ない。おじちゃんが作っていたカレーと僕のカレーの違いはそこですね。

お店には、僕ら世代のおじさんで当時通いつめていた人たちも来てくれますし、噂を聞いた若い子たちも来てくれています。

西宮出身の松尾貴史(キッチュ)さんも中高大とサンボアに通いつめていたそうで、2回ほど来てくれました。松尾さんはご自身も下北沢でカレー屋さんをやるほどのカレー好きですが、ルーツはサンボアにあるのかもしれませんね。

俳優の堤真一さんも高校時代によく通っていたそうで、一度来てくれたことがあります。「懐かしいわあ。こんなんまた食べられると思ってへんかった」とお友達とワイワイ盛り上がっていましたね。

今はコロナの影響で、毎日のように来てくれていたお客さんが、以前のように頻繁ではなくなってしまっています。夜飲みに行かない習慣ができてしまっているんでしょう。新しく来てくれるお客さんも、コロナ前に比べるとまだ本調子とは言えないですね。

それでも、常連のみなさんはわざわざ遠回りしてでも寄ってくださったりして、そういう方々に支えられて、なんとかやれている状態です。どこの飲食店さんも同じ気持ちだと思いますが、とにかく早く元に戻ってくれたらと願っています。

Indigo インディゴ

〒663-8035
兵庫県西宮市北口町9−8
0798-64-9082

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