いづみ屋は、祖父が1960年頃に立ち上げたお店です。ずっと側で見ていたせいか、小さいころから料理が好きでした。例えば、トマト一つとっても種類があって、さまざまな食材を組み合わせれば料理ができる。料理は無限大です! 料理の世界に魅了され、お店を継ぐ、継がないは関係なく、将来は料理の道に進むと決めていました。
高校を卒業してから調理の専門学校へ行き、その後は神戸の創作和食のお店で3年勤めました。中も洋もあるお店だったので、織り交ぜながらたくさんの知識や技術を得ることができたと思います。
その後、「東京オリンピック選手村の厨房で働きたい!」という目標ができて上京することに。1年間渋谷のお店で働きました。東京はやっぱり規模が違っていて、有名人が来店することも多く、すごく刺激的でした。
しばらく東京で頑張っていましたが、コロナウイルス感染症の流行で大きく計画が狂ってしまいました。目標だった東京オリンピック選手村の厨房で働くことは叶わず、西宮へ戻ってお店を継ぐことに。苦労もありましたが、神戸でも東京でもいろいろ学べたので、3代目としてお店を継ぐのは楽しみでしたね。同じ高校で知り合った妻は継ぐことに不安はあったようですが、もともと料理好きでもあり、よろこんで協力してくれました。
いづみ屋はもともと、定食メニューだけの店でしたが、僕は夜もいろいろなお客さんに楽しんでもらいたいという思いがありました。なので、先々代の祖父や先代の父が残したメニューは価格も維持しながら引き継ぎつつ、自分の色も出すために夜用メニューや飲み物も増やしてみることに。新しく取り入れた毎月変わるメニューも、お客さんの反応を見つつ、自分が経験したことや学んだ技術を生かして作っています。時には、妻が作ってくれる夕食からインスピレーションを受けて、メニューに取り入れたりもします。例えば、人気の「初鰹のレアかつ」は、妻が作った「サーモンのレアかつ」をヒントに生まれたメニューです。アレンジとして、いづみ屋のタルタルソースをかけています。その他にも旬を生かしたメニューを用意しているので、ぜひ皆さんに食べていただきたいですね。
働き始めてからずっと和食を学び、現在も和食をメインにやっています。繊細な和食に欠かせない包丁の切れ味や包丁さばきの重要さ、素材の持ち味を生かしながら料理をする大事さなどを感じるにつれ、ますます和食に惹かれていきました。
僕の和食へのこだわりは、出汁とお米です。和食の中心的存在で、全部の料理に繋がってくる出汁とりには特にこだわっています。やっぱりご飯屋さんでもあるので、美味しいご飯の提供にも力を入れています。冷めても美味しい、オムライスや焼き飯などの料理に使っても美味しい、炊き上がりに艶のある米を選んでいます。毎日の食事で「ここに来てよかったな」とよろこんでもらうだけではなく、みなさんの新しい活力源になればと思っています。
お店を運営するにあたって大事にしていることは、「清潔」「スピード」「クオリティ」の3つです。この3つのレベルを高めてレベルアップするようにと、店のスタッフにもずっと言っています。料理をする上で清潔は当たり前、できていなかったら大問題です。スピードが遅いのはもちろんよくないですが、早ければいいというものではありません。そして、来てくださったお客様に満足してもらうために、料理、接客ともにクオリティの高さは不可欠です。自分自身のこれまでの経験から、どんなに忙しい時でもこの3つを心がけています。
せっかくなら違うところへ出向いて、他の地域の人にも「いづみ屋」を知ってもらいたいと、イベントにも参加するようになりました。日常とは違う雰囲気が、僕らにとっても刺激になっています。これからもイベントへの出店を続けていきたいですし、おせちや恵方巻なども予約販売で提供しているので、季節の味を楽しんでもらいたいです。
今後に関しては、この店の基盤をしっかり固めて、僕の夢でもある「新しい店を自分で1から作る」ことをやってみたいと思っています。たくさん広げるのではなく、良い店を増やしていく。いづみ屋のような店が、また1店できたらいいなと。その前段階として、お持ち帰りの品で通販もやろうと考えていて、準備を始めているものもあります。夢はどんどんふくらんでいるところです。ただ無理はせず、新しい挑戦に向けて少しずつ、妻と一緒に進んでいこうと思います。
お食事処「いづみ屋」はみんなの拠り所です。美味しいご飯やお酒を用意して、いつでも待っています。
〒663-8233 西宮市津門川町9-6
TEL:0798-34-6176