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横尾 昌二郎(よこお しょうじろう)ジャズトランペット

『”不老不死”のミュージシャンになりたい』

西宮には5歳か6歳の頃から、もう30年住んでいます。学文中のジャズバンド部でトランペットを始めましたが、本格的にハマったのは、中学2年生の時です。世界的に有名なサックス奏者の渡辺貞夫さんと、震災で被災した子供たちが共演する「Jazz for kids」という企画で、渡辺貞夫さんが中学校にリハーサルに来た時に、音に目覚めた感じがあります。

それまでの部活では楽譜通りに演奏していくスタイルでしたけど、渡辺さんはコード進行に合わせてアドリブで、即興演奏している感じでした。当時は即興演奏についてよくわかっていなかったと思いますが、とにかく「かっこええな」と思いました。

即興演奏に興味を持ち始めたのは、高校の後半ぐらいだったと思います。大学で、小さい編成で即興演奏を中心にやっていくサークルに入ったのが大きかったかもしれません。在学中に、先輩に連れられて大阪のジャズクラブ「SUB」でジャムセッションに参加させてもらったり、「SUB」のオーナーでベーシストの西山満さんと一緒に演奏したりするようになりました。

3年の時からちょこちょこと演奏に呼んでもらうことが始まって、そこから自然と入っていった気がします。就職活動もやらなかったですね。プロになってからもはじめはバイトをしていましたが、3年目ぐらいで音楽だけで食べていけるようになったので、順調な方だと思います。

今はいくつかメインで活動しているバンドがあって、ひとつは「ハードバップ研究会」。1950年代から60年代ぐらいのニューヨークでやっていたような音楽を生演奏するというコンセプトのバンドです。

もうひとつは、僕がリーダーを務めている通称「Yokoo!BB」というビッグバンドです。作曲や編曲も行っていて、秋にCDのレコーディングを行う予定です。アマチュアのジャズビッグバンドは日本中にいっぱいあるので、ゆくゆくはそういうバンドに演奏してもらえるようなアレンジを書けるようになりたいです。

僕の好きな言葉に、漫画『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』でアバン先生が言う「正義なき力が無力であるのと同時に、力なき正義もまた無力なのですよ」という言葉があります。「本当に助けたい人がいる時に、力がなかったら助けられへん。正義感だけ持っていてもあかんのやで」ということですが、これを音楽に置き換えて「どれだけ表現したい音楽が心の中にあっても、それを表現できるテクニックがなかったらそれはできない。だから練習せなあかん」と、いつも自分に言い聞かせているんです。

練習すれば、この歳でもまだ上手になりますから。成長のスピードは若い時の方が全然速いですけど、大人になってからじゃないとわからないこともあります。普段は忙しくてあまりゆっくり時間が取れないのですが、コロナの自粛期間中はしっかり練習することができました。そういう意味ではたっぷり自分に向き合える時間になったので、よかったと思っています。

大御所ジャズミュージシャンの古谷充さんが最近亡くなられて、考えたことがありまして。僕は共演したことはほとんどなかったんですが、古谷さんがいなくなっても、古谷さんの音楽はみんなの心の中に生きているわけじゃないですか。例えばビートルズも、解散したりメンバーが亡くなっても、ビートルズの音楽はみんなの心の中で生きている。

もし僕が死んでも、みんなが演奏を聴いて懐かしんだり、僕の曲を演奏してくれたりしたら、実質「不老不死」になるのかなと思って。ジョージ・ガーシュウィンとか昔の偉大な作曲家の曲だって、今も演奏され続けているわけだから実質生きているようなものでしょう? 僕もそういう「不老不死」のミュージシャンになりたい。何かを残したいですね。

Youtube:横尾昌二郎チャンネル

ブログ:神戸~大阪~京都 などで活動する ジャズトランペッター横尾昌二郎のブログです。

twitter:横尾昌二郎@Yokoo_BB