僕は尼崎の生まれで、高校から西宮に住んでいます。高校2年の時の進路指導で「散髪屋になりたい」と言ったら、教師が行きつけの散髪屋に口を利いてくれまして。先方からは「少しでも早い方がいい、高校を辞めてすぐに来い」と言われたんですが、高校は出ておきたいと伝えると「じゃあ毎日アルバイトに来い」と言われました。
それで、学校へ行く前に店の掃除、帰ったら店の後片付けを手伝うようになり、オーナーから「散髪屋はええぞ」と毎日のように言われて、徐々に洗脳されていきました。高校生なので(笑)。市役所に口利きをしてもらえる話もあったんですが、「散髪屋になる」と決めていたので断りました。「あの時、市役所に行っていたら…」と考えることもありますが、それでもやっぱり散髪屋を選ぶと思います。自分にはサラリーマンは向いていないし、やりがいのある仕事やと思っています。
独身の時は必死で、うまくなりたくて、人の3倍は練習しました。これは自分のためです。やがて独立して、結婚して、子供が生まれて。西宮の教育部に誘われ、組合の仕事をするようになりました。そのうち教育副部長になって、県の講師にもなりました。講師会という組織があって、全国に100人いる講師はほとんどが全国チャンピオンの人。僕は全国大会でも最高13位と、大した実績もないのに組合が尽力してくれて、奇跡的に講師になることができたんです。
自分のためだけでなく家族や組合員のためにがんばろう、県で、近畿で、全国でがんばろう…気がついたら、自分を必要としてくれる人のために働くようになっていました。そして5年前に姫路理容美容専門学校の校長に行けと言われ、今に至ります。校長なんて、業界内でもごく一部の人間しかできないことを、なぜかわかりませんが引っ張り上げてもらって、いい経験をさせてもらっています。三十数年商売を続けることができて、お金儲けはできていないけど(笑)、僕を必要としてくれる人のために楽しく仕事ができています。
今も、夕方や土日にお店へ出ています。お店で働いていて一番いいのは、いろいろな職業の人が来てくれること。僕自身が情報を提供することもあるけど、大工さんや調理師さん、いろんな職業の人がいろんな情報を教えてくれるんです。技術ももちろん大事ですけど、それより人間のつながりが大事。モノを売って終わりとならずに、1時間いっしょにいて、いろんなものを提供してもらえる。それが一番ありがたいと感じます。
変な話、僕自身は大した努力はしていませんが、いろんな局面でいろんな人に助けてもらって、生きてきました。「困ったときには誰かが助けてくれる」と感じています。学校の卒業式で生徒たちに言うのは、「何を幸せな人生と感じるかは人それぞれだけど、どういう人が幸せな人生を送れるかというと、それは”感謝できる人”です」ということ。
物に対して、人に対して、「してもらって当たり前」と思っていたら、当たり前以外はたいして良くないことばかりに思える。物や人に対して感謝の気持ちを持っていれば、「ありがとう」「うれしいな」と感じる回数が増える。そうしたら、1年間でうれしいことがいっぱいになる。感謝の気持ちがあれば、幸せな人生が送れる。僕はそう思います。
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