私達同世代が、生まれ育った頃の阪急 西宮北口駅周辺は、今きれいに整備されている街並みより、もう少し庶民の界隈がある北口市場がありました。
小さい頃から変遷をずっと見てきた、一声掛ければ友達同士が集まれる思い出いっぱいの街です。
自宅から地元 高木小学校~西宮北口駅周辺が、私達同世代の遊び場でした。
市場には、母の買い物に引っ付いて行ったり、放課後おばあちゃんが一人でやっている駄菓子屋さんや文房具屋さんで友達と待ち合わせたりしたことを、今でも思い出したりします。
半分大人になりかけの多感な高校生の時に読んだインテリア雑誌がきっかけで「インテリアデザインをやってみたい」と思い、京都の芸術・インテリア系の短大へ進学しました。
大阪の設計事務所に就職してみて「インテリアデザインを仕事にしていくには、先ず建築の事を理解して学んでいかねばならない!」と感じ、アシスタントから建築設計の世界にどっぷりのめり込んでいきました。
建築設計事務所で4、5年勤めて、学校やマンションなどの大きい現場も体験しましたが、大きな建物よりも、人が生涯を通してずっと身近に関わっていく住宅の設計を、やっていきたいと思うようになり、その後は、輸入住宅を取り扱う流通会社、リフォーム会社の営業設計、住宅メーカーの設計職などを経て、スキルアップしていきました。
辛い事があっても建築設計という軸はぶれず、いずれは独立をしたいという野望がふつふつと湧いてくるようになって、20代後半には個人事務所をひそかに立ち上げ、会社の仕事と並行してインテリアコーディネーターの仕事をも受けるようになっていったのです。
昼間は正社員の仕事をこなし、自宅に帰ってからは個人で受けている図面を徹夜で描く…というダブルワークの忙しい日々。20代後半頃は、果たして私はこの職種に向いているのか・いないのか、女性の分岐点でもある好きな仕事に突き進むか結婚して仕事を減らすかの選択で悩みを抱える時期でもありました。30代半ばには「住宅設計という仕事を生業にして生きていこう」と覚悟を決め、会社に属するのではなく、個人請けの仕事で何とか生きていこうと言う根拠のない自信と希望を抱いて「KAOKU建築設計」を立ち上げ独立しました。
独立はしたものの、フリーの仕事はどうしても収入には波があります。仕事が無い時にはちょっと落ち込みがちになるので、異業種の人と交流するようにしていました。まったく違う業界の方からいろいろな話を聞くことでその方とも距離がぐっと近くなりますし、例えばファッショントレンド情報を入手したら、それをお客様との雑談に活かしたりすることもあります。
仕事が暇な時でも、遊びながら常にインプットとアウトプットを心掛けていました。
元々は、けっこう消極的なタイプだったのですが、建築全般のことについて何かと相談を受ける事が多くなるにつれて、人と人のご縁を繋げたり、周りのブレーンを紹介したりしていく内に楽しくなり、気が付いたら営業的なスキルが身に付いていた感じです。
独立して明日をも知れないプレッシャーを抱えながら生きる生活の反面、毎日自分のスケジュールは、自分で決められるというメリットも前向きにとらえ、一つ仕事をやり遂げるとお客様の笑顔や喜びのお声・時にはご指摘のお言葉がリアルに感じる事が出来て、自身の喜びにも変わってやりがいを見出すことが出来ています。
地元 西宮を盛り上げたい、少しでも貢献したいと思ったのは、阪神淡路大震災の時です。
当時は大阪に住んでいましたが、余震が続いている間は、両親に付き添い半壊した家をおいて避難所に寝泊まりしたことがあったのです。
避難先の中学校の体育館で寝転んで天井を眺めながら、「せっかく設計の仕事に携わっているのだから、一軒でも多く地震に強い家を造っていきたい」と強く思いました。その後は、兵庫県や大阪府の耐震診断員としての講習も受け、古い木造住宅の耐震改修をしていく事もライフワークの一つとなりました。
そして今は、兵庫県産木材も扱える工務店として、住宅改修業者登録もできております。
耐震性があって安心して暮らせる住宅造りというのは、ある程度スキルがある建築士ならば当然考えていかねばならないことですが、そこに「 KAOKUらしいデザイン・アイデア」をプラスして、ご提案するようにしています。
30代、40代設計畑でコツコツといろいろな経験を積み、人脈もある程度できた50歳代になってまわりの信頼も受けるようになり、ようやく力が発揮できるようになってきたと感じ始めた3年ほど前、心を込めて建築を共に造っていける大工 棟梁と出会い、設計事務所からのステップアップを果たし、総合的に建築請負ができる小さな工務店としてリスタート致しました。
建築は一人では決して完成させることが出来ない。
建築主がおられ、共に寄り添いサポートする設計・デザイナー・棟梁・工事に関わる大勢のプロ職人さん達、出来上がってそこに永く住むご家族、古くはその土地に関わって歴史を作ってきた人達の想いも感じると、みんなで創り上げる偉業だと思っています。
良い土地を探して家を建てたい、改装したいと思われているお方々の夢や趣味、今住んでいる家の不満、ご家族皆様の癖までも聞き出せたらベストですね。
取材して頂いているこの空間:ギャラリーearth orbitは、マンションの4階にある、私が小学校の頃、同級生のお家として遊びに来させて頂いていた住宅です。4LDKだったこの住宅を他には何処にもない遊び心満載の面白いギャラリーに改修したという私達の熱を感じて頂ける空間です。
ギャラリーオーナーの真理さんも生まれ育った西宮が大好きで『 遊ぶ 』という事を人生のテーマとしていろいろな芸術活動をしておられる御方です。
プロとして、時にご依頼主様と共に遊ばせて頂きながら、責任ある家という「もの創り」を楽しませて頂いております。
そして、これからも人と人とのつながりを大事にしながら、時には冷静に立ち止まり考える小回りのきく設計・デザインする工務店として、KAOKUオリジナル注文住宅を造っていきたいと思います。
WorK Office
〒663-8114 西宮市上甲子園3-6-24
TEL/FAX:0798-77-4760